ニーバーの祈り ラインホルド・ニーバーの静かな洞察から伝わる、人生で大切な3つの言葉

ニーバーの祈り(Serenity Prayer)とは、アメリカの神学者ラインホルド・ニーバー(1892–1971年)が作者であるとされている祈りの言葉です。

日本語訳にも、ニュアンスが異なるものがいくつかあるようですね。

 

わたしが一番最初に出会ったニーバーの祈りは、あるとき手に入れたオラクルカードの説明書に書かれていた日本語訳でした。

それがとても素晴らしく、一言ひとことが心に染み込む言葉で紡がれていました。以下に記載します。

ニーバーの祈り

神様、変えることができるものについて
それを変える勇気を与えてください。
変えることができないものについては
それを受け入れる冷静さを与えてください。
そして
変えることのできるものと、変えることのできないものとを
見分ける知恵を授けてください。
あなたの意志を実行するために
必要なことを示してください。
洞察力、正直さ、愛と共に人生を歩めるように導いてください。
私に真実だけを見せてください。
アーメン。

《 原文 》
The Serenity Prayer

God, give us grace to accept with serenity
the things that cannot be changed,
Courage to change the things
which should be changed,
and the Wisdom to distinguish
the one from the other.
Living one day at a time,
Enjoying one moment at a time,
Accepting hardship as a pathway to peace,
Taking, as Jesus did,
This sinful world as it is,
Not as I would have it,
Trusting that You will make all things right,
If I surrender to Your will,
So that I may be reasonably happy in this life,
And supremely happy with You forever in the next.
Amen.

調べてみますと、ニーバーの祈りの言葉は、口伝えや教会での説教から広まり、冊子やカードにも掲載され、アメリカ軍やアルコール依存症患者の自助グループの間でも、さらに広がりを見せたようでした。

日本では、ニーバーの弟子の大木英夫 氏が、1967年の論文と、1970年の著書『終末論的考察』で紹介したそうです。

ニーバーの祈り

神よ、
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。

ラインホールド・ニーバー(大木英夫 訳)

同じ英文を日本語訳にすると、最初に紹介した文章との表現の違いにわたしは感動してしまいます。

この差を楽しめるのも、訳す方々がそれぞれに持つ、精神や体内の宇宙が、言葉となって現れているからでしょうか。とても素晴らしいと思います。

 

そして原文と比べますと、日本語訳では一部の文の順序が変えられているようです。日本人に伝わりやすく、きれいにまとめられていて素敵ですね。

冷静さと勇気と知恵は、人間が本来持っている3つの宝

ニーバーの祈りには、3つの言葉が含まれています。

serenity → 冷静さ
couragr → 勇気
wisdom → 知恵

人生では、これらを試される試練が何度もやってきます。

変えることができるものとは、自分自身未来の運命のこと。

変えることができないものとは、他人のこと自分が生まれ育った環境や過去宿命のこと。

変えることができるものとできないものを見分ける知恵とは、何事でも他人まかせではなく、常に自身の心に問い、答えを考えて導き出す意識を持つことで、身につけられていくものではないのだろうかと、わたしは考えます。

 

自分の外側の状況や他人を変えようとして、たとえ一時的に変えることができたとしても、場所や人を変えて、同じような状況は何度もあらわれます。

自己の内側が変わらない限り、繰り返し、おなじ舞台は用意されます。

その度に感情は揺さぶられ、振り回される自分自身にも悲しくなるのですが、抜け出す方法も分からずに、ただ流されるだけの人生を生きるしかないのかもしれないと悲しんでいたのは、過去のわたしでした。

 

自分の人生に覚悟と責任を持ち、切り開いていくためには勇気も必要です。

勇気を呼び起こし、自分の中に眠る可能性を見つけ出しながら、周囲への関わりと関心を少しずつ広げていくことが大切であると、この言葉が教えてくれているように思いました。

まだ見ぬ可能性を持ちながら、未完成ゆえの光を放つ人間

ニーバーの祈りの言葉からは「自分も他人も完璧ではないがゆえに、人間の未完成さゆえに、だからこそ放つ輝きがある。」ということを表現しているようにも見えました。

未完成だからこそ、人間とは1秒ごとに進化していける存在であったのです。

もしかすると、あなたの中に眠る、同調圧力や自分自身のホメオスタシス(現状維持することは楽なのでそのままでいようとする心理状態)を振り切る力を呼び起こしたくて、

勇気を持って新しい道をどんどん切り開いて進んでほしくて、

望む未来を自分の手で掴んでほしくて、

神さまはこの宇宙に「困難と幸せを織り混ぜた舞台」をセッティングしたのかもしれません。

それらを越えた時に見える風景をあなたと一緒に見たい、成長したあなたに会いたいと、ずっとずっと待っていてくれているのかもしれませんね。

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