
キリスト教は、イスラム教やヒンドゥー教、仏教と並んで、世界でも信者数の多い宗教の1つです。
現在のキリスト教徒数は24億人以上と言われており、世界人口の33%を占めています。世界最多です。
時代を経るにつれて、キリスト教内で宗派も増えていきました。宗派が増えても、基本的には唯一の教典「聖書」をよりどころとしています。
仏教は、宗派ごとに経典がそれぞれ異なりますので、ここはキリスト教との大きな違いですね。
聖書は、旧約聖書と新約聖書の2種があり、これを1つに合わせて「聖書」とします。
聖書の信仰によって人は救われる、というおしえがキリスト教です。そして、隣人愛もキリスト教の特徴ですね。
▷ 旧約聖書
天地創造から始まり、紀元前から1000年にわたる神とイスラエル民族との関わりの物語。救いの約束、神と人々との契りなどが書かれている。ユダヤ教の聖典でもある。ユダヤ教の人々にとってはこれが唯一の教典であり、旧約聖書のみを「聖書」と呼んでいる。
▷ 新約聖書
イエス・キリストの日記や言葉(福音)、さらにキリストに出会った人々が神の存在に触れた記録が記されたもの。イエス誕生後に新たに更新された神と人々との契りと捉えられている。
キリスト教がたどった歴史
キリスト(Christ)とは、救世主を指します。
キリスト教においては、ナザレのイエスが救世主であります。
「イエス・キリスト」と呼ぶ、その呼び名からは、イエスこそがキリストであるという信仰のメッセージが感じ取れます。
ナザレとは、イスラエルの都市であり北部地区の中心地。
イエスという名は当時、めずらしくなく、苗字をつける風習もなかったようです。その人の出身地を含めて名を呼ぶことが一般的だったようですね。
◇キリスト教の流れと主な出来事、そして宗派を簡易的な図にしてみました。
イエスが起こした宗教運動とは、当初はユダヤ教の分派でした。
イエスの死後は、弟子たちの熱心な宣教活動により、イエスこそが救世主であるとするキリスト教として(ユダヤ教とは別の宗教として)信者を集めていきました。
4世紀 ローマ帝国の国教となる
キリスト教がローマ帝国に浸透した当時、キリスト教は厳しく弾圧されましたが、次第に認められ、さらには国教とまでなりました。
▷ 380年
キリスト教がローマ帝国の国教として定められる。
▷ 392年
キリスト教(アタナシウス派)がローマの唯一の宗教「国教」とされる。それまでの伝統的なローマの神々や、ミトラ教の太陽神信仰が禁止される。
この頃に、ローマ・カトリックの特徴である「教皇(法王)」を頂点としたピラミッド型の組織ができあがります。
そしてローマ帝国はもともと、主に多神教の宗教を信じる国家であり、偶像崇拝も行なっていた歴史がありました。
そのため、キリスト教がローマ帝国の国教となった後も、神だけでなくイエスやマリアなどの像や絵に積極的に祈る風潮も生まれました。
多くのカトリックの十字架に見られる、イエスが磔(はりつけ)られている像からも、それが伺えます。
11世紀 東西教会の分裂
この頃から次第に、東西両教会の交流が減りはじめました。
数百年が過ぎる間に、教会組織のあり方の違い、権利をめぐる争いなどから、キリスト教史上最大規模でもある東西教会の分裂が生まれました。これは現在までも続いているようです。
1965年には、当時の代表が互いを認め赦免し合うことを合意。2016年には東西教会それぞれのトップが会談をキューバで開催したようです。
ようやく、キリスト教史上初の、東西教会の統一へ向けた和解の1歩が、踏み出されたと言われています。
16世紀 宗教改革と細分化
キリスト教という土台の上に建てられた教会制度や教えは、時代を経るごとに、そして世界中に広がるにつれて宗派が分かれてきます。
ローマ・カトリックに抗議するものとして、プロテスタントが生まれました。プロテスタントは、その中で更に多くの教派に分かれていきます。
正教会は、ギリシャ正教会、ロシア正教会、ルーマニア正教会、ブルガリア正教会、グルジア正教会など、国や地域名を名前の頭につけています。
世界最多の信者数を持つキリスト教の宗派
キリスト教には、大きく分けてカトリック、プロテスタント、正教会、東方諸教会の宗派があります。
カトリック(約51%)、プロテスタント(約22%)、正教会(約11%)の3つの宗派で、世界のキリスト教信者の80%以上が占められています。
ローマ・カトリック
キリスト教最大の宗派です。南ヨーロッパや南米で特に多い宗派です。
ローマ教皇がトップであり精神的な指導者でもあります。
バチカン市国に拠点があり、教会の儀式、伝統、風習にも信仰を持ちます。(マリア崇拝、マリアの無原罪懐胎説、聖人崇拝、煉獄説など)
マザーテレサも、カトリック信者の1人でした。
教会の特徴としては、伝統的で豪華な装飾が多く、バロックやロマネスク、ゴシック様式などの高い芸術性が見られます。
プロテスタント
宗教改革によってローマ・カトリックから分裂しました。西ヨーロッパや北米で優勢です。
原始キリスト教の回復を目指す諸グループ、その一連の運動の総称がプロテスタントであり、組織ではありません。聖書に重きを置いた信仰を持ちます。
ローマ教皇のような人物は存在せず、聖職者としては牧師がいます。
アメリカ合衆国の歴代の大統領は、1名を除いてあとは全員がプロテスタントです。
教会の特徴としては、シンプルで実用的。装飾は控えめです。
正教会
もっとも古い歴史があります。東南ヨーロッパやロシア(旧ソ連)に拠点を持っています。
ローマ法王を認めておらず、ローマ・カトリックのような教職の独身は要求しません。
そして現代でも、禁食(斎 ものいみ)を行なっています。
教会の特徴としては、偶像崇拝は好まないため、絵画や壁にキリストやマリア、聖人の姿が描かれています。それらはイコン、イコノスタシスと呼ばれます。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
以上、キリスト教の歴史や宗派の一部を、簡単に説明いたしました。宗教とは歴史も奥も、本当に深いですね。
何を信じるのか、何を自分自身の心のよりどころとするのかは、人間1人1人に与えられた自由な権利であります。
そして人生をよりよく生きるためにも、これらは常に、自分自身に問い続ける必要があります。
時には信じる対象が変わることもあるでしょうし、変化を受け入れる勇気を試されることもあります。
人生という長い道のりで、本当に知るべき道から外れることの無いように、捉え方や考え方を白と黒の2つに分けるよりは「ちがい」として受け止めることはとても重要になってきます。
それができた時とは、世界の広がりが更に感じられる瞬間でもあるのではないかと、わたしは考えます。
・・・とは言いますが、人間である以上、どうしても納得できないこと、もどかしいこと、怒りを感じる出来事は、やはりわたしにもあります。
感情に振り回されると、相手の意見を受け流すことさえむずかしい時も、正直あります。
それとひとつひとつ丁寧に向き合うことが、一番大切な事なのだろうのだと身をもって実感する毎日です。
鏡の法則においても、相手の認めたくない言動こそが、本当は自分自身が在りたい姿であり、そんな自分を受け入れた時にこそ、別の世界が表れるのだとおしえてくれます。
世界の広がりを知るということは、自由度や選択の幅が広がること。
そしてこの宇宙においては、全てを知った上で包み込んでこそ、ひとつになる(ワンネス)という意味になるのかもしれません。
宗教とは、人間に何をもたらしてくれるものであったのでしょうか。じっくりと考えてみたいと思います。