いつの間にか、私はずっと人から与えられる好意を、素直に受け取る事ができない人間になっていました。
- 「私にはそれをもらう資格が無い」
- 「私に与える事で、この人はそれを失ってしまう」
- 「この人は私に何故、与えてくれるのか」
- 「私はこれを受け取って良いのか」
そんな事ばかり考え、その態度と慎ましさとをごちゃ混ぜにしてしまい、勘違いが度を超えてしまう時さえもありました。
自ら行動した結果、その恩恵を受け取れる状況になった時ですら、自信無く遠慮がちにそれを受け入れていました。
欲しいものを「欲しい」と素直に言えず、他人の顔色を伺い、手に入れたいものが目の前にあっても、喜んで受け取る事ができない。
子供の頃は、素直に喜んで受け取っていたはずの、あの感覚が思い出せない。
けれども、こういった事を続ける様では、本当の幸せを味わう事ができないと気付いた時、受け取る事の本当の大切さに気付きました。
さらに、相手からの好意を喜んで受け取るという事は、送り主を幸せにする行為のひとつでもあると知りました。
ぎこちない所が未だに残ってはおりますが、今では少しずつ素直に受け取れる様になってきたかと思います。
自分に受け取る「資格」が無いとずっと思い込んできましたが、結局それは、自分の中に蓄積されてきた「心の影」のうめき声に過ぎなかったのかもしれません。
周りばかりに目を向け、気を使い、本当に気遣うべき自分に心を向けていなかったのだと知った時、もうひとつの世界がちらっと見えた気がしました。