子供の美術 佐藤忠良(彫刻家)
図画工作の時間は じょうずに絵を
かいたり、ものを作ったりするのが
めあてでは ありません。じょうずに かこうと するよりも、見たり
考えたりしたことを、自分で感じた とおりに
かいたり 作ったりすることが 大切です。しんけんに絵をかき、ものを作り続けて
いると、じょうずになるだけでなく、
人としての感じかたも育ちます。このくり返しの中で 自然の大きさが
わかり、どんな人に ならなければならない
かが わかってきます。これが めあてです。
これは、子どもたちの針金アート作品が並んでいる展示会に置かれていたメッセージでした。
おそらく、先生のどなたかが作品に添えたのだと思われます。
個人ひとりひとりのものの捉え方、感じ方をとても大事にする素晴らしいメッセージだなと感じました。
アートならでは、ですね。
未熟ながら、私も学生時代は美術学校に通っており、多少の絵心はございました。
しかし当時は、絵を描くことで精いっぱいで、上手に創ろうとする思いで頭がいっぱいで、このような思考プロセスまでは意識できておりませんでした。
クリエイティブな表現とは、心の中の果てしない旅そのものであると思っております。
自然の偉大さを感じ、宇宙の神秘と同化して、自分を俯瞰(ふかん)する中で、自問自答のこたえを追求・表現していくという思考プロセスは、自分の精神がそのまま形となって、この3次元に表われるものでもあります。
そして、子どもだったあの頃に、時間を忘れるほどに夢中になれたあの頃に戻れる、不思議な瞬間でもあります。
私はこれを、神さまや宇宙と繋がれる時間であると思っております。